絵:山田三郎、文:神戸淳吉「おしゃれなからす」(『講談社の絵本 イソップえばなし(2)』、昭和42年)
絵:山田三郎、文:神戸淳吉「おしゃれなからす」(『講談社の絵本 イソップえばなし(2)』、昭和42年)
ここでもカラスは、悪賢い役にキャスティングされている。王様がいちばん羽根のきれいな鳥に、冠をあげようといったので、カラスは、落ちていた羽根を拾って身につけ、冠を手に入れようとした。しかし、折角の偽装工作も、他人(鳥)の羽根であることがばれてしまい、抜き取られ、泣いている絵だ。
この話は、昔から何度も絵本になったものと思われ、「おしゃれなカラス」だけを集めても相当な数に上るものと思われる。タイトルは異なるが、奥田玲子;画「王さまに なりそこなった からす」(三田村信行『新おはなし文庫一年イソップどうわ』、偕成社、2001年)も、同じイソップ話だ。
奥田玲子;画「王さまに なりそこなった からす」(三田村信行『新おはなし文庫一年イソップどうわ』、偕成社、2001年)
くちばしと体の大きさが半分半分くらいの漫画的なカラスになじみがあるせいか、このカラスは、ちょっとくちばしが短く、かわいらしいカラスに見えてしまう。こんなかわいらしいカラスが人(鳥)を欺き、悪知恵を働かして、鳥類の王さまになろうなどとたくらむであろうか。
絵:みやざきひろかず、文:たちはらえりか「おしゃれなカラス」(『イソップおはなし絵本』主婦と生活社、1999年)も同じ話だ。こうして比べてみると、さまざまな表現のカラスを見ることが出来て、楽しい。
絵:みやざきひろかず、文:たちはらえりか「おしゃれなカラス」(『イソップおはなし絵本』主婦と生活社、1999年)
カラスが色々な鳥の羽根を拾って身につけて、鳥類でいちばんきれいな鳥になろうとしているにしては、ちょっと貧相な気がする。これでは、拾った羽根であることを見破られなくとも、宿敵でもあるキジや孔雀やカワセミに負けてしまうのではないかと心配だ。