本日、神保町の古書市で購入した丹下左膳はこんな表情でした。

灘本唯人が描く左膳は、何とも愛嬌のあるひょうきんな丹下左膳ではないですか。どことなく鞍馬天狗のようにも見えてきます。



装画:灘本唯人林不忘『魔像・丹下左膳』(カラー版日本伝奇名作全集、番町書房、昭和45年)、このての全集は安くて入手しやすい。古書価200円は嬉しい。


灘本唯人は、1926年2月兵庫県神戸生。1956年山陽電車宣伝部に嘱託入社。1961年早川良雄デザイン事務所に入所。1967年以降フリーとなり現在に至る。角川文庫の花登筐「どてらい男」や新潮文庫田辺聖子の作品のカバーなど、多くのイラストを手がける。「話の特集」の表紙なども良く知られている作品の一つだ。 1970年日本サインデザイン協会金賞受賞。1979年講談社出版文化賞受賞。1981年ニューヨーク・ジャパン・グラフィックデザイン大賞受賞。 1983年フジサンケイグループ雑誌広告賞受賞。1993年紫綬褒章受章。1982年韓国・ソウルにてイラストレーション個展。講談社出版文化賞挿絵部門選考委員。東京イラストレーターズ・ソサエティ代表。


以前紹介した伊坂芳太良丹下左膳もひょうきんで、戦後の左膳という感じがした。これはこれで、いい絵なんですが、時代背景が、このような絵を描かせるんでしょうか、小田富彌が描いた左膳の持っていた、夜な夜な無差別辻斬り殺人を繰り返していた凄みはどこへ行ったてしまったのでしょうか、という感じがしますね。



装画:伊坂芳太良林不忘『完本丹下左膳』(立風書房、1970年)