さいとう・たかおも伊坂芳太良も黒襟白紋付きのはずの着物が「南無妙法蓮華経」という経文の書かれた着物を着ている。これは映画の資料を参考にして描いたのではないかと思われる。DVDの大河内傳次郎主演、マキノ雅弘監督『続丹下左膳』では背中に「南無妙法蓮華経」が模様のように描かれた着物を着ている。
伊坂が亡くなったころ、美大に通っていた私は、伊坂イラストの大ファンで、今でもポスターを持っている。
時を経てなお、その斬新さを失わないPeroスタイルにひきつけられます。
サインがPeroと書かれているのに注目。なぜかはわかりませんが、伊坂は別名Peroといわれていた。ちょっとひょうきんな丹下左膳の解釈が面白いでしょ。丹下左膳はどたばた劇の要素が多分にありますので、こんな表現の方があるいは的を得ているのかも知れません。
この本の帯にはテレビ放映の告知が掲載されている。左膳は、緒形拳が、お藤は朝丘雪路が演じている。さらに今ではあまり見られなくなってしまったビニールカバーがついているのも懐かしい。
1970年といえば
3月14日 - 日本万国博覧会(大阪万博)開幕
3月31日 - 日本航空機よど号ハイジャック事件発生
4月10日 - ビートルズ解散
11月25日 - 三島由紀夫、市ヶ谷の自衛隊東部方面総監部にて割腹自殺
など、今でもまだ記憶に新しい大事件が続けざまに発生した頃でした。
この前後にも大事件がありました。
1968年12月10日 - 東京都府中市でおきた三億円強奪事件
1972年2月19日 - テレビで実況中継された浅間山荘事件
当時、私は下宿住まいの学生で、テレビがなく、残念ながらリアルタイムで丹下左膳を
見ることは出来ませんでした。でも浅間山荘事件の時にはテレビに釘付けでした。まだ解決していませんが、知人が三億円強奪事件で家宅捜索を受けたのも今では懐かしい話です。
白土三平の『忍者武芸超』やジョージ秋山『錢ゲバ』、『ヤスジのメタガキ道講座』、赤塚 不二夫『天才バカボン』『おそ松くん』、ディスカバージャパンの広告、伊坂芳太良の挿絵は60〜70年代を思い出させる。