マゾヒスト彦造と挿絵の関連性


私個人的には、緊張感のある伊藤彦造の絵は好きですが、どうも「嗜虐のエロス」は受け入れにくいですね。彦造は、精神を高めるためのさまざまなパフォーマンスをしたことが伝えられているが、それをしたからといっていい絵が描けるものではなく、単に自分を奮い立たせるためのパフォーマンスだったのではないでしょうか。空腹状態に自分を追い込んだり、自らの腕を切り、その地で絵を描いたりするのは、幼い頃から父に刀で斬られたりする事が会館になってしまった単なるマゾヒズムでしかない。腕を切ってその地で絵を描いているところの写真を残しているのは、そのこと自体に酔っているだけで、それが緊張ある絵を生み出す力になるとは思えない。


死や血を描かなくとも、緊張感のある場面を想像し創作に結びつけることができる得意な才能があったはずです。


時代背景として、戦争と背中合わせで生きている人たちに共感を呼び、このような血なまぐさいホモセクシャルな挿絵が受け入れられたのでしょうね。