出勤途中の古本市で古沢岩美の装丁本を

またも出勤途中に古本市に立ち寄ってしまった。ホンの10分でもいいから、古書店の入れ替えがあったときくらいは覗いてこなければね。


今日の収穫は5冊で、まずは
池田満寿夫装画「話の特集」(話の特集社、昭和44年2月)
池田満寿夫装画「話の特集」(話の特集社、昭和44年4月)




以前にもずっとブログに池田満寿夫の話を書いていたほど、池田満寿夫の装丁は大好きだが、雑誌の装丁はなかなか見つけるのが難しく、この「話の特集」の装丁については今までまったく知らなかった。嬉しい掘り出し物だ。横尾忠則のカラーイラストが4ページも入っていてそれだけでも300円は安い。


私がコラージュをやり出したのも池田の「コラージュ論」を読んでからで、多大な影響を受けているアーチストだ。


もう1冊は、児童向けの理科の絵本のようなものだが、なぜこんな汚いホンを購入したのかというと、装丁挿絵が古沢岩美が描いているのがすごいな、と思ってつい購入してしまった。表紙の絵はともかくとして前扉なんかはモノクロだが、なかなかだよね。バックの模様のおどろおどろしさがね。





本文中にもカラー見開きの挿絵が沢山入っていて、どことなく古沢の雰囲気があっていいですね。


古沢岩美の装丁本には格別の思い入れがある。私がまだ本の装丁に興味を持ちはじめた頃に、丸山静『島木赤彦』(昭森社、昭和23年)を見つけひと目で惹きつけられた。四六判並製のこのぼろぼろの本が1200円もするので一寸躊躇したが、そのまま見捨てて帰るわけには行かなくなって、とうとう購入してしまった。


そう「ひと目ぼれ本」なんです。「♪おじさん私を……お部屋につれてって♪」な〜んて見つめられると切なくなって、前後の見境なく購入してしまうんです。「胸キュン本」なんです。最初は誰が装丁したのかもわからずに本箱の中に表紙を見えるようにたてて飾られていました。「一生懸命咲いて……なぐさめてあげるわ♪♪」咲いてはくれませんでしたが、見るたびに大分癒されました。画家ってすごいですよね。


ある日、古書・玉晴(きゅうせい)に立ち寄った時に同じ本を見つけ、「この本は誰が装丁したんだかわからないんだけど……」というような話をしていたら、堀口氏がこれは古沢岩美の装丁本ですよ。と教えてくれた。よく見ると裏表紙の下の方に小さく「I.F」というモノグラムがあった。


これがきっかけで、その後、署名の解読をやったら面白いかも知れないと思い「挿絵家たちの署名」という連載を「紙魚の手帳」で書きはじめ署名を集めまくった、という、私にとっては、思いで深いいわく付きの本なのです。



この装丁にみられるようなアヴァンギャルドな装画に興味を持ち出し、1920−30年代の前衛美術運動の影響を取り入れた装丁に興味を持つきっかけになったのもこの本でした。今だに大好きな装丁で、最近もう1冊保存状態のいい本を購入してしまいました。