池田満寿夫の装丁

池田満寿夫の装丁の話もネタが切れてきたのでそろそろ終りにしようかと思ってい矢先、次々と、池田の装丁本が手に入りはじめてきた。もうこれ以上書くような話はないが装丁だけでもみてもらおうかと思いアップしてみた。
小野十三郎『奇妙な本棚』(第一書店、昭和39年)
池田の最初の装丁が富岡多恵子『カリスマのカシの木』(飯塚書房、昭和34年)だから
『奇妙な本棚』も初期の作品といえるだろう。この頃の作品には懸命さがうかがわれ、
あの池田にもこんな時代があったんだ、などとと思いながら眺めていると
滑舌の悪い独り言を言いながら制作している様子などが想像できてたのしい。



池田満寿夫『私の調書』(美術出版社、昭和43年)
池田満寿夫装丁『私の調書・私の技法』(美術出版社、昭和51年)
『私の調書』2冊をやっと並べてみることが出来た。
昭和43年版はカラーで印刷されておりおまけにこの向きが正しいのだが、
昭和51年版ではなぜか普通の向きに直している。




野坂昭如『生誕の時を求めて』(中央公論社、昭和50年)
私は金属のスクラップが好きで、さびたブリキや錆びたボルトなどには無性に魅かれるが、
池田の装丁にもこんなスクラップを扱った作品があるのは嬉しい。
抽象絵画の原点は機械主義芸術論で、抽象絵画は発生当初から金属とは深い関係があるので、
池田が金属に魅せられても不思議はない。




山本益博『考える舌と情熱的胃袋』(新潮社、昭和50年)



・松山幸雄『甘い国から来た男』(潮出版、昭和52年)
やっぱりコラージュになるとがぜんチカラを発揮するね。このデザインもかなりいい。



・ヤロスラフ・サイフェルト『詩集 ヴィーナスの腕』(桐原書店、昭和61年)
池田は自らを版画家だとはいわないように、絵画の世界だけでも、特定の義奉にとらわれず、
さまざまな技法をみせてくれた。ガッシュの水彩画もいいよね。




・C.Wニコル『陸軍少佐夫人』(集英社、1993年)