ゲテ本ってなに?

  
「ゲテ本って一体何?」という人のために河原淳「愛書家のための変態辞典」(『別冊太陽─本の美』平凡社、1986年)から解説を引用してみた。
 
「げてそうほん【げて装本】上手物ではない、巧まずして面白いブックデザイン。昭和六年刊の酒井潔『日本歓楽郷案内』は、見返しにセピア色の女の写真が貼ってあり、雁だれ表紙に窓があき、のぞける仕掛けになっている。昭和五年夏に平凡社が、発行した『風俗雑誌』は、表紙の女に蚊帳様の網がかぶせてある。」とある。
 
一体いつごろからこの言葉が使われ出したのか、いつごろからゲテ本があったのかなどなど説明不足な気がするが、要は「奇をてらった装丁」と言うような意味と理解して欲しい。
 
よく知られているゲテ本創作家は斎藤昌三であろう。いまだかつて斎藤昌三を超える創作家はいない。ゲテ本として知られているのは、筍の皮を使った『西園寺公望』。そして、アルミの板を表紙に綴付けた横光利一『時計』、もう一冊あげると、漆塗りの表紙の谷崎潤一郎春琴抄』などが知られており、批判のまな板に乗せられることが多い三大ゲテ本と言ってもいい。