大貫伸樹の続装丁探索34(書物展望社の本)

shinju-oonuki2005-09-13

齋藤昌三が主宰する書物展望社は、「破れ番傘などを活用するゲテ装幀本などに凝って、廃物利用による奇抜な百二、三十種の本の装幀もやった。」(城一郎「齋藤昌三先生の業績」『限定本』3)とあるように、私が知らないゲテ本がまだまだあるらしい。
 
「書物展望」通巻第46号の巻末には、「装幀界を先駆する書物展望社本!!」として32点が紹介されている。そのうち15点は「賣切絶版書目」となっている。架蔵書にはこのうちのわずかに10数点しかない。自笑!(へへ)齋藤昌三通だが、これではまだまだ齋藤昌三を私淑するなどとは名乗れないな。
 
コレクターとしては、だらしない己の尻に鞭を当て、古書市巡りをしていたら、長谷川伸『股旅の跡』(書物展望社昭和12年)を見つけた。ゲテ本とは呼べない比較的オーソドックスな造本だが、とりあえず購入してみた。刀の鍔の図案が表紙に黒箔押しされている。構図としては『書痴の散歩』とよく似ている。
 
齋藤昌三がこんな図柄を用いるとつい、勘ぐり過ぎてしまう。刀の鍔は女陰の記号にも見えてしまう。書物展望社の桃を二つ割りにしたような社章は江戸時代には正に女陰の記号だったらしいからなおさらだ。そういえばNTT
ロゴマークも、出来た時には女陰のマークと言われていた。