山藤章二の現代版『図説「見立て」と「やつし」』

「勇み足するイラストレーション」と題して、「……山藤章二氏もロッキード事件を、年間150万部も売れ続けた武者小路実篤の色紙“仲よきことは美しき哉”(写真右下)に見立てて、配置されていたタマネギなどの絵を三人の犯人の似顔絵に置き換え楽しく仲良く犯罪を犯している絵(写真右上)に“やつし”た。楽しげに犯罪を犯すというギャップが逆に強い批判となっている。武者小路実篤先生が頭をかかえ、贋作作家(山藤)が逃げているのがまた楽しさを倍増させている。


 近世から続く見立ての技法は、現代の匠たちにもしっかりと受け継がれ強力な表現武器の一つとなっている。」(「図書設計」70号、2007年)と現代版の「見立て」について書いたことがあるが、まさにその本家本元の話の装丁『図説「見立て」と「やつし」』(八木書店、2008年、写真左)が舞い込んでくるとは、そのタイミングの良さには驚かされた。9,800円+税という高額書にもかかわらず、数ヶ月で増刷になったと聞く。今回はその続編ともいうべき仕事が舞い込んできた。