光文社版『江戸川乱歩全集』等で知られる挿絵画家・伊勢田邦貴(大正10〈1921〉年1月24日〜平成21〈2009〉年9月15日、ペンネーム:伊勢田邦彦、幾野久、いくのひさし)のご遺族に、10月末に銀座で開催される展覧会、10月27日〜11月3日、神保町・東京堂書店6階で開催予定の「粋美装画展」の展示作品をお借りするために訪問した。

ネットで古書価数万円もする昭和22年に刊行された光文社版『江戸川乱歩全集』等が山と積まれていた。コナン=ドイル『赤い文字の謎』(名探偵ホームズ)1、ポプラ社昭和36年)は、単行本、ジャケット原画、本文中挿絵、色校正等が全てセットで揃っていた。



伊勢田邦彦:画、コナン=ドイル『赤い文字の謎』(名探偵ホームズ)1、ポプラ社昭和36年)下絵



伊勢田邦彦:画、コナン=ドイル『赤い文字の謎』(名探偵ホームズ)1、ポプラ社昭和36年)ジャケット色校正刷り


しかし、よく観察してみると、上の絵と下の絵では微妙に違うことに気がついた。このような絵が4点ほどあったが、校正刷りと同じ絵の原画が見つからなかった。伊勢田は、挿絵でも表紙用の装画でも何枚も描く習慣があったので、使わなかった下絵が残っていたのだろう。