2011-08-26から1日間の記事一覧

伊勢田邦彦:画、野口活『新島襄』(「新偉人ロマンス」橘書房、昭和26年)を入手した。これまでは、伊勢田自身が『からくり黒兵衛』(児童憲章愛の会、昭和53年)に記載されているの略歴に、

1921年京城に生まれる。 京城師範学校(旧制)卒。 1947年より挿絵執筆。 1975年第3回作家クラブ賞(絵画部門)受賞。 出版美術家連盟理事。 と、書いているように、挿絵執筆は昭和22(1947)年に始まり、江戸川乱歩『怪人二十面相』(光文社、7月初版)が…

たった今、ネットで注文した日本の古本屋・千葉県の古書店から、「昭和17年は誤記で、ご指摘の通り昭和26年でした」とのメールがはいった。危うく間違った話を書くところだった。せっかくの推察が間違いだということが証明されてしまった。ショック!

伊勢田邦彦:画、野口活『新島襄』(「新偉人ロマンス」橘書房、昭和26年)

これが通信教育で学んだだけの新人の挿絵かと思われるほどに、デッサン力は秀でている。しかし、挿絵としては魅力に欠ける。標準レンズのカメラで同じアングル(目の高さ)で、人物が全身映るように撮影した素人写真のようで、画面構成は単純で人物の表情にも工夫がなく、読者を引き込むだけの力がない。

これまでデビュー作と思われていた江戸川乱歩『怪人二十面相』(『江戸川乱歩全集1』光文社、昭和22年)と比較してみると『怪人…』の方が、わずかに上達しているように見えるので、『新島襄』のほうが若いときに描いたものと推察される。