杉浦非水の大正期、関東大震災前の装丁

非水の装丁は、関東大震災以降に大幅に変化を見せる。が、立証は出来ないが、洋行する前から美術雑誌などからアール・デコに関する情報をつかんでいたのではないかとも、推察できる。特に気になるのは大正11年に刊行された池田林儀『改造の独逸より』(東京堂書店)だ。それ名での装丁とはまるで雰囲気が違うのがわかる。フリーハンドで描いた絵ではなく、明らかにコンパスや定規を用いて描いた幾何学的な形の図案で表現することを意識しているように思える。



杉浦非水:装丁、『お夏文代』(大正6年



杉浦非水:装丁、『義時の最期』(大正7年



杉浦非水:装丁、『趣味の日本史』(大正7年



杉浦非水:装丁、『白珊瑚』(大正8年



杉浦非水:装丁、『結婚の心理』(大正9年



杉浦非水:装丁、『金鈴』(大正9年



杉浦非水:装丁、『しみのすみか物語』(大正10年)



杉浦非水:装丁、『常磐木』(大正11年