1912〈明治45〉年、日比谷図書館において杉浦非水の装幀本による「書籍装幀雑誌表紙図案展覧会」が開催された。この時に目録などが刊行されたのかどうかは、現時点ではわかっていない。が、明治45年以前に非水によって装丁された作品が出展されたのは確かなので、明治期の装丁作品を調べてみよう。これまでも取り上げてきた「三十六年」や「ホーム」「報知日報」「三越」「三越タイムス」「大阪之三越」などの冊子類はもちろんのこと、単行本も数こそ少ないが、手掛けている。



1912〈明治45〉年、日比谷図書館において開催された杉浦非水の装幀本による「書籍装幀雑誌表紙図案展覧会」
不鮮明な写真だが、よく見ると描かれているモチーフなどの特徴から「三十六年」「ホーム」「三越」等を判読できる。




杉浦非水;装丁、杉浦非水:装丁、饗庭篁村『単林子撰註(近松研究)』 (東京専門学校出版部、明治34年)



杉浦非水:装丁、『あやめ草』



杉浦非水:装丁、土井晩翠『暁鐘』(東京堂発行、明治45年2月7日12版)




杉浦非水:装丁、『愛の学校』(明治45年)



杉浦非水:装丁、『聖賢格言集』(明治45年)



杉浦非水:装丁、『中学世界』(明治40年
下記の作品と同じ構図ではないが、日本の楽器ではない、竪琴をモモチーフにした茶髪の女性をとりいれているなど、ミュシャの影響を受けているものと思われる。



アルフォンス・ミュシャ『春』1896年



杉浦非水:装丁、『中学世界』(明治44年