ジュラルミン装にふさわしいのは『時計』ではなく「鳥」だったのではないだろうか

講演の圧巻は、単行本にはならなかったが、横光の提唱する「人間的機械」論の実践を喚起しようとした横光利一「鳥」こそが、ジュラルミン装にふさわしい本だったのではないだろうか、として、この講演の為に、装丁を手作りで作ってしまったこと……ではないかと思っています。


タイトル文字は、佐野と横光が相談した結果、結局佐野流の文字が使われることになり、妥協の産物となってしまった。ジュラルミンの穴は、飛行機のコクピットをイメージしたもの。


大した工具を持っていない私にとって、ジュラルミンの加工はとてつもない大変な作業でした。機動隊の盾や飛行機のボディに使われているだけあって、軽くて丈夫な金属で、思っていたよりもはるかに硬く、苦労しました。


まずはサイズを合わせるだけでも、どうやって切ってよいのか分らず、結局は大型のカッターナイフで、根気よく何度も何度も切りつけました。


コクピットの窓の部分になると、ユリゲラーじゃないけれど、これはもう念力に頼るしかありませんでした。思い出したくもありません。