大同出版の出版物を2冊ゲットした。何れも初版本でどれほど売れたのかはわからない。古本屋さんはなぜか第2版(2刷り)以降に発行された本をあまり売ろうとしないので、増刷された本を探すのはなかなか難しい。なぜ初版本がいいのか私には全く理解できないし、初版本が高価で取引されているのが不思議でならない。

・長谷川隆『現代用語辞典』(大同出版、昭和25年)
・仲本秀四郎『入門写真の撮り方』(大同出版、昭和32年




この2点が発行された昭和25年から昭和32年ころは、桜井均の精力は殆ど大同出版に注がれ、桜井書店からは殆ど出版されていない。
松本八郎「『世の中』を出版した桜井書店の桜井均」(「sumusu文庫08加納作次郎三冊の遺書」2005年)の「桜井書店の主な刊行書目」によると
昭和25年◎森有正『現代フランス思想の展開』
昭和26年◎大木実『少年少女のための詩の作り方と味ひ方』
昭和29年◎村上知行『新中国』
の3点しか発行されていないようだ。


太平洋戦争で経済的に疲弊した出版社を建て直すために、文芸書の出版を一時休止し、かつて大儲けをして桜井書店設立の資金をつくった大同出版で実用本を刊行し、また、ひと儲けを企てたのであろう。そしてあくまでも桜井書店という社名で発行する書物と、』大同出版というなで発行する書物をわけて、桜井書店を桜井均のステイタスとなるような出版社に仕立てたかったのではないだろうか。大同出版は汚れ役を押し付けられてたようだ。
『入門写真の撮り方』の巻末にある自社広告には


・前並仲子『礼儀・挨拶・式辞の心得』
・斎藤好宏『挨拶と演説の仕方』
・佐藤和光『運動遊戯教材』
・総合文化研究所『レクリエーション辞典』
・お国自慢民謡と踊りの会編『図解民謡の踊り方』
・玉木勝一『正しいダンスの手引』
・海野一郎『かくし芸全書』
NTS手品同好会『手品と奇術の種明かし』
・松平維石『誰にもわかるテレビジョン回路と調整』
・後藤満『ズブの素人がスーパーまで図解ラジオの設計と作り方』
・永井忠『ラジオの組立と修理』


以上の11冊が掲載されていた。これらの本がいつ発行されたのかは分からないが、おそらく『入門写真の撮り方』の発行日より前2〜3年間に発行されたものと思われる。これについては1点1点検討するしかない。