小川菊松がこの原稿を書いたのはいつごろなのか?


書物の発行年は昭和28年だが、この原稿がいつごろ書かれたものなのかは不明だ。櫻井書店の話があり、「大同出版社の別看板も出して」とあるのは、戦後大同出版社での出版を再開した頃の話ではないかと思われる。国会図書館のデータで見る限り大同出版が戦後沢山点数を出しているのは1949〜1951(昭和26)年で、一番沢山出版した1951年には下記のような出版物がある。

・辻克己『応用彩色図案集 服飾手芸刺繍工作』
・辻克己『応用図案カット集』
・辻克己『応用図案文字集』
・辻克己『図案文案広告資料大集成』
・辻克己『現代図案カット大成』
・辻克己『広告資料大集成』
・田上帯雨『応用手紙の書き方』
・田上帯雨『実用ペン字手紙の書き方』
・田上帯雨『書体字典』
・田上帯雨『ペン習字兼用女子手紙の書き方』
・田上帯雨『ペン習字兼用手紙の辞典』
・田上帯雨『毛筆三体字典』
・田上帯雨『和漢名筆書体字典』
・渡辺彰平『債権の取立とその対策』
・渡辺彰平『新憲法下の法律百般解決』
・渡辺彰平『絶対に貸倒れしない債権の取立とその対策』
・増田純歩『人形の作り方全集』
・増田純歩『秘法伝授人形の作り方全集』
菅井幸雄『映画の見方』
・根本 繁『音楽の聴き方』
・清矢 久『英字千態図案集』
・木原芳樹『応用略図と図案集』
・中村文秀『応用自在机上手紙辞典』
・石井 明『愛の書簡集』
・長沢玄光『思ふことが自由に組み立てられるペン習字兼用女子手紙の書き方』
・大同出版社編集部『こうすればすらすらかける手紙の書き方』
・中等数学研究所編『数学辞典』
・菅井良造『正式珠算のはじき方』
・里子了斎『姓名学大観 』
・玉木勝一『正しい社交ダンスの手引』
・海野一郎『かくし芸大全』
・脇田彰『古今名家金言集』
・鈴木捷夫『釣り人手帖』
・益田一方『初めて株をやる人の手引書』
・英語教育研究会編『初めて学ぶ人のためのABCより会話まで』
・永井忠『ラジオの組立と修理 』
・横山かほる編『若い女性の手帖』
・斎藤好宏『挨拶と演説の仕方』


1949年〜1951年にかけては沢山の出版点数があるので、小川が「一昨年は…… 」といっているのは、この頃を指しているものと思われ、小川が原稿を書いたのは1952(昭和27)年ころではないかと思われる。