■高橋忠弥の装丁書誌リスト8

吉田時善『地の塩の人』(新潮社、1981年)
渡辺喜恵子『北国食べもの風土記』(女子栄養大学出版部、1981年)
渡辺喜恵子『みちのく子ども風土記』(毎日新聞社、1982年)
渡辺喜美子『暮らしのつくろい手ばたらき』(文化出版社、1983年)
渡辺喜美子『万灯火』(毎日新聞者、1983年)
・加藤文男『詩集 南部めくら暦』(花神社、1986年)
・加藤文男『労使関係論』(花神社、1987年)
渡辺喜美子『南部九戸城落城』(毎日新聞社、1989年)

高橋忠弥は2001年に89歳で亡くなっている。






たった今、『北国食べもの風土記』が届いたのでジャケットの写真を掲載します。期待にたがわない見事な装画で、特にこの渡辺喜恵子の著書に関しては力の入った装画を寄せている。1959年『馬淵川』で直木賞を受賞した渡辺の初の随筆集だが、出版社が替わっても渡辺の著書は忠弥が担当しており、著者と装丁家のいい関係がいい装丁を作っている数少ない例といえる。


それにしても、なぜ『北国食べもの風土記』の装画が花の絵なのか? 見返しや別丁扉には食べものに関する絵が用いられているが、表紙の絵は唐突な感じがしないでもない。タッチが油絵のように見えるので、もしかしてこれは装丁用に描かれたものではなく、タブローとして描いたものを流用したのかも知れない。直木賞作家とフランス帰りの画家が相談して作り上げた装丁だとしたら、版元はもう朽ち出す隙間はない。





何かが吹っ切れたかのように渡仏後の忠弥はシャガール風の絵など明るい色彩の作品が多い。装丁にも1976年以降の作品は、明るく楽しげで華やかな装丁が多く好きだ。


『南部九戸城落城』が最後の装丁とは思えないのでこれからも探していくつもりです。
荒田秀也画伯が持ってきてくれたスクラップブックも整理して、エッセイなどはブログに掲載していけたら……と思っています。