【サンゴのように赤い実の形が面白いビナンカズラ(サネカズラ)‼︎】…市内の植物探索(23)
我が家にも5年ほど前に市民祭で購入した鉢植えの美男葛(びなんかずら)がありますが、花は咲くがなかなか実がならない。もしかして雌雄異株の雄株だったのか? 市内でも、実がなる木を見たのは保谷町・富士街道沿いなど3箇所だけで、思いの外少ない。
日本の主に関東より西の地方、朝鮮半島南部、台湾、中国に分布する常緑のつる性樹木です。雌雄異株または同株で、花には雄花と雌花があり、雌花は粒々がたくさん集まって球形をなした特徴的な実を付けます。みどころは、キイチゴを大きくしたようなツヤがある真っ赤な粒々の丸い集合果(直径 2〜3 cm)が枝からぶら下がり実ります。個々の果実は直径1cm ほどの液果で、和菓子の小倉鹿の子(おぐらかのこ)を思わせ、初冬の末枯れの中に赤い実がよく目立ちます。
棚に絡まったビナンカズラのつる枝をつぶすか樹皮を剥いで水に浸しておくと、ねばねばした液(銀出し油/鬢水)が出てきます。その昔、男性がそれを整髪料に用いたので、ビナンカズラ(美男葛)の名前があるといわれています。奈良時代には、整髪料(髪油)としてビナンカズラがふつうに使われていたと考えられています。が、江戸時代に「鬢つけ油」が庶民の間に普及してからはあまり使われなくなっていたようです。ちなみに正式な和名(標準和名)はサネカズラ(実葛)です。実(さね)が目立つつる性の植物としてサネカズラ(実蔓)と名づけられたそうです。