【西東京の植物絵手紙(73)…西東京市保谷町でマツヨイグサに出会った!】

西東京の植物絵手紙(73)…西東京市保谷町でマツヨイグサに出会った!】
  マツヨイグサ属は分類上は本属中の一種 Oenothera stricta を指しますが、口語ではオオマツヨイグサやメマツヨイグサなども含め、本属中の黄色の花を咲かせる複数の種を大まかに指す語として用いられています。マツヨイグサ属にはおよそ125の種が含まれ、14節が構成されています。どの種も南北アメリカ大陸原産であり他地域にはありません。日本も例外ではなく、野生のものは帰化植物か、逸出した園芸植物のいずれかでしょう。
  原産地では種により海辺や平野から高山に至るまで幅広く分布しますが、パイオニア植物(不毛の環境や、山火事などによって破壊された以前は生物多様性があった定常状態の生態系に最初に定着した丈夫な種)なので、自然状態では平地では河原、砂浜や砂漠、山ではガレ場や、山火事の跡などの荒地や痩せ地に、人為的にかく乱された環境下では鉄道路線沿いや路肩、耕作放棄された畑や休耕田のような場所に生え、他の植物が成長してくると姿を消します。日本では造成中の土地や未舗装の駐車場でもよく見かけます。
 マツヨイグサ属には黄色以外の白、紫、ピンク、赤といった花を咲かせる種もあります。標準和名では、黄花を咲かせる系統は「マツヨイグサ」(待宵草)、白花を咲かせる系統は「ツキミソウ」(月見草)と呼び、赤花を咲かせる系統は「ユウゲショウ」(夕化粧)などと呼んで区別していますが、一般にはあまり浸透しておらず、黄花系統種もよくツキミソウと呼ばれます。しかし黄花以外の系統がマツヨイグサの名で呼ばれることはまずありません。なお黄花以外の種は園芸植物として栽培されているものが多いようです。
 マツヨイグサの多くの種は黄色い四弁花で、どの種も雌しべの先端が4つに割れる特徴があります。一日花であり、多くの種が夕刻に開花し夜間咲きつづけ、翌朝には萎みます。これが「月見草」や「待宵草」の名の由来です。
 マツヨイグサとメマツヨイグサはよく似ています。見分けは、葉の形が一つのポイントです。
柳のように細く、真ん中の葉脈が白っぽかったらマツヨイグサ。メマツヨイグサの葉は広くて真ん中の葉脈が目立ちません。花の時期は7月から、場所によっては10月になっても見かけることがあります。また、黄花系統種のうち、マツヨイグサコマツヨイグサは、花が萎むと赤く変色するが、オオマツヨイグサやメマツヨイグサはそれほど赤くはならないので、こういった点でも種を区別できます。
 マツヨイグサは道ばたや空き地、河原で見かける黄色い花を咲かせる夏の野草です。北アメリカが原産地とは思えないくらい、日本になじんでいる植物ですね。夜にかわいい花を咲かせるので、昼間は見る機会がなく昼には気付きにくい花ですが、夕方や早朝にぜひ見つけて、夏の月夜に待宵草を眺めてみてはいかがでしょうか。
 
・絵手紙=「昼までずっと咲いていてほしい」

 
 
西東京市保谷町6丁目 で2023.8.28に撮影した待宵草。

 
 
西東京市北原町1丁目 で2023.7.29に撮影。

 
 
西東京市泉町1丁目 で2023.8.2に撮影。