「禁じられた遊び」のポスターを描いた野口久光を知ってますか?

【第三の男など洋画を中心に1000点を超える映画ポスターを描いたデザイナー(画家)を知っていますか?】
 映画のテーマソング「第三の男」や「禁じられた遊び」を聞いたことがある人は多いと思う。これらの映画を見た人も多いのではないだろうか。しかし、この映画のポスターを描いたデザイナー・野口久光を知っている人は少ないだろう。そういう私も、昨日ある本の色校正をやっていて初めて知った。


野口久光:画、「第三の男』(日本公開1952年)



野口久光:画、「禁じられた遊び」(日本公開1953年)



 1933年、東京美術学校(現・東京藝術大学)工芸部図案科卒業制作で描いた『制服の処女』や『ALL TALKIE NEWS』など7点が美校買い上げとなったという。
 1951年、東和映画株式会社宣伝部に入社。『天井桟敷の人々』『第三の男』『禁じられた遊び』『大人は判ってくれない』など戦後の欧州映画の傑作映画ポスターを数多く描く。


野口久光:画、監督:フランソワ・トリュフォー大人は判ってくれない.」((日本公開1960年)

特に1960年の日本公開の際描かれた『大人は判ってくれない』のポスターは監督のフランソワ・トリュフォーが絶賛し、久光に「素晴しいポスターを描いてくれてありがとう!」とお礼を寄せ、感謝の意を伝えた。その後来日したトリュフォーと対面した久光が、『大人は判ってくれない』のポスターの原画を贈呈すると感激したトリュフォーは、1962年制作のオムニバス映画『二十歳の恋』の中の「アントワーヌとコレット」の中の印象的な小道具としてこの野口のポスターを登場させる。
 このような数々の武勇伝を持つ野口久光だが、私はこれらのポスターの絵が見事なこともあるが、使われている文字が、小さな文字まで全て手書きで書いていることに感動した。
 感動が冷めないうちにと思い『ヨーロッパ名画座野口久光映画ポスター集成』(朝日ソノラマ1984年)を購入してしまった。