中世の本のように本文の上に書名を大きく入れたい!

某出版社から、「著者から、中世の本のように本文の上に書名やノンブルを大きく入れたデザインにしてほしい」との要望がありましたが、ご意見を聞かせてください? というメールと同時に組み見本などのたくさんの資料が宅配便で送られてきた。


 確かに中世の本や写本(手書きで複製された本や文書)を見るとその多くに、本文の上に書名が大きく掲載されている。
 おそらくこれは、今のように一度に8ページとか16ページを印刷するのと違って、1ページずつ製作していたので、それぞれに書名を書いておく必要があったのではないかと思います。ノンブル(ページ番号)という概念がなかったので、製本するときに隣りに来るページを間違えないように、写真右下のように右ページの最初の単語を左ページの下に書いておいいたんですね。

 今回のメールのおかげでいろいろ勉強させていただきました。調査の結果、縦組みに組んでしまった本文に、中世の柱やノンブル様式を取り入れるのはバランスが悪く、繰り返しタイトルが出てくる意味もなくむしろ煩わしい、ということで著者にはせっかくのご提案でしたが諦めていただきました。