大好きな谷内六郎の本『フルサト』が届いた。

大好きな谷内六郎の本、谷内六郎・絵、Nokko・詩『フルサト』(マドラ出版、2004年)が届いた。30年ほど前に、幻想的で機知に富んだ谷内の絵がたまらなく好きになって、あの1956(昭和31)年から26年間も表紙絵を担当した「週刊新潮」や装丁本、著書を沢山集めた。それ以来久々に購入にしたのだが、やっぱり、いい。
 谷内の親友・横尾忠則さんと二人で、2階から下を眺め通行人にむかって念力ごっこを真剣にやった話を読んでますます好きになった。何を隠そう、私も通勤電車の中で、向かいに座った人に念力をかけ「欠伸をする〜、欠伸をするぞ〜」と、念力をかっける訓練をしていたことがあったので、急に仲間意識が強くなった。
 「週刊新潮」の表紙絵には絵のタイトルがついていて、なんの絵だろうと思ってみつめているときに、このタイトルをよむと、思わず「な〜る程!」と、おもわずにっこりしてしまう。
 一度会いたかったが、 1981年1月になくなっていた。



谷内六郎:画「上総の町は貨車の列 火の見の高さに海がある」(「週刊新潮」創刊号、1956年)
創刊号の定価は30円だったんですね。



谷内六郎:画「古い羽根新しい羽根」(「週刊新潮」表紙、1962年)
風邪をひいて寝込んでしまったのだろうか、お父さんがお餅をつき、お母さんが炉端でそれをのして、もうすぐお正月だというのに。昨年、無くしてしまった羽根が、あっ、こんなところに。
 滅多に見ることがないこんなアングルを、谷内は屋根裏にのぼったことがるのだろうか?



谷内六郎:画「蝶ネクタイ」(「週刊新潮」表紙1963年)
「あっ、蝶々が」これが本当の蝶ネクタイですね。偶然、こんな風景がありそうですが、そんな瞬間を谷内の目は見逃さず、暖かい絵に仕上げている。



谷内六郎:画「雨の波止場」(「週刊新潮」表紙、1957年)
雨の波止場には、白いカモメと寂しい女がよく似合う。連綿と歌い継がれている演歌のテーマだが、谷内はそんな演歌の世界を描き上げたのだろうか?



谷内六郎:画「ポンポン船」(「週刊新潮」表紙、1959年)



谷内六郎:画「水面」(『週刊新潮』表紙、1969年7月20日