昨朝10時にアマゾンに注文した、夏目金之助・著、山下浩・監修『漱石新聞小説復刻全集 三四郎』(ゆまに書房、平成11年)A4判244p、布装上製本カバー付定価8,424円(本体7,800円)が、今朝9時に届いた。送料無料でこの早さは、あの「早くて♪ 安くて♪ うんまいの〜♪」の、キンニクマンが唄う牛丼一筋の「吉野家」の歌にも似て嬉しくなる。最近は豚丼もやっているけど。


夏目金之助・著、山下浩・監修『漱石新聞小説復刻全集 三四郎』(ゆまに書房、平成11年)


漱石本の装丁については、日本近代文学館が編集刊行した『名著復活漱石文学館』(全23点、25冊)で、漱石の作品集、著作集の全てを初版のままの形で手に取って造本などを観賞することが出来る。
 しかし、新聞小説の場合は発行当時のままに全部見るのはなかなか困難だ。特に挿絵は研究者が少ないためだろか、なおざりにされて、全集や文庫本で刊行される時には省かれてしまうことが多くなかなか全ての挿絵を見ることが出来ない。
 新聞小説切り抜き帳の様に書籍の形にして全集としてにまとめてくれたのは、そんな挿絵を全て見ることが出来るので大変ありがたい。
 

 不満もないわけではない。挿絵の大半がノドにかかってしまい、1枚の挿絵が2つに切れてしまっているのは残念だ。漱石新聞小説で挿絵があるのは「三四郎」「坑夫」「明暗」だけなので、漱石研究の資料としてこの挿絵の重要さを考えると大変残念な発行形態だと言わざるを得ない。
 特に名取春仙の漱石新聞小説の挿絵は、「コマ絵」から内容に呼応した「挿絵」へ移行する時期の橋渡しをする貴重な作品ともいえる。



漱石新聞小説復刻全集 三四郎』の場合は、どの見開きページにも白スペースが沢山空いているのだから、そこに分裂させられてしまった挿絵を再度復元するとか、あるいは、1ページに割り付けが出来るようにA3判にするなどのもう一工夫して欲しかった。高価な本なのだから、そくらいは考慮してくれてもよいのではないだろうか。

夏目金之助・著、山下浩・監修『漱石新聞小説復刻全集 三四郎』3-10(ゆまに書房、平成11年)




夏目金之助・著、山下浩・監修『漱石新聞小説復刻全集 三四郎』3-13(ゆまに書房、平成11年)




夏目金之助・著、山下浩・監修『漱石新聞小説復刻全集 三四郎』4-10(ゆまに書房、平成11年)


監修の山下浩さんは、『本文の生態学』(日本エディタースクール出版部、1993年8月)の著者で、かつて「日本近代書誌学会」を設立した七人の創設者の一人としてご一緒させていただいたことがあるので、ご活躍を大変嬉しく、懐かしい思いで購読させていただいた。