「粋美挿画展」の開催日が近づいてしまい、失礼だとは思いながらも、まだ初七日を過ぎて間もないという故・堂昌一先生のアトリエを星恵美子先生、沢登みよじ先生、私の三人で訪問し、出品作品をお借りした。まずは堂先生に花を捧げ、ご焼香をしてご挨拶。奥様、お嬢様とのご挨拶もそこそこに、早速展示用の作品をお借りする話を切り出した。先ず第一に一番手を付けたのが気になっていた、原画を手に入れる前にポスターに使ってしまった「股旅新八景」の挿絵原画を探してもらうことだ。とりあえずこれがないと、ポスターを見て会場に来てくれた人に嘘



堂昌一:画、長谷川伸「股旅新八景」(光文社、昭和62年10月)



大貫伸樹:デザイン、「粋美装画展」ポスター


堂先生は几帳面な方で、ほとんどの作品が作家名や小説タイトルごとに綺麗にまとめてあった。堂先生の父親は指物師であった影響もあるのだろう、絵を描くときに使っていた一枚板の大きな作業机や引き出し付きの袖机なども自分で作った物だという。



堂昌一先生お手製の引き出し