『現代詩大事典』(三省堂、2008年、12,000円+税)、編集長慰労会を開催。

編集長・飛鳥勝幸さんのライフワークとも云うべき三部作『現代短歌大事典』『現代俳句大事典』そして今回の『現代詩大事典』が完結した。



出版記念パーティというのは、普通、出版社企画で行われるものだと思っていましたが、今回は編集委員の一人である、和田博文さんから編集長の慰労会をやろうではないかとの提案があった。集まったのは監修者の安藤元雄さんを初め12名。私も装丁・デザインを担当したということで、声をかけていただいた。


この本の完成を喜んでいるのが、長年の夢をかなえることができた編集長であるのはもちろんのことだが、執筆者でもある編集委員たちでもあることがよくわかる好企画のパーティでもあった。


それだけ、研究者や詩人たちが、発行してもらいたいと願いながらも、このような出版物を企画制作することが困難なことだということでもあるのだろう。採算や購読者数の問題もさることながら、監修者や執筆者の人選・承諾や、160数名の執筆者たちに連絡を取り、統括していくことがいかに困難な作業であるか。


具体的には、主義主張や価値観の異なる執筆者たちが、一冊の本の制作に集まり、互いの文章に納得するのだろうか? あるいは、一人の詩人の項目が、人名や作品、所属団体の項目などに関係していて、それぞれの項目を別々の執筆者が担当している場合などは、内容のダブりや欠落を一つ一つ確認するのだろうか? などなど、素人の私には気の遠くなるような、単なる編集技術だけでは乗り越えられない作業がたくさんあるはずだ。この本は5年がかりで完成にこぎ着けたらしいが、その間に何度も危機があったという。


今回の慰労会は、そんな大変な作業を乗り越え、出版までこぎ着けた編集長への、編集委員たちからの感謝の気持ちが込められていたかのようで、延長1時間しても、まだ名残惜しそうだった。


私は臨席した杉浦静さんから、ご専門の『春と修羅』『セロひきゴーシュ』などの話を聞かせていただき、個人教授とでもいうべきぜいたくで楽しい一時を過ごさせていただきました。


飛鳥編集長からは『……大辞典』を『……大事典』に訂正するように、との誤植訂正要求メールが入った。さすがに編集長ですね。