何処かで見たような装画

昨日ネットで注文した本がもう届いた。1冊は『世界少年少女文学全集』(創元社、昭和29年)。この本の装丁は初山滋だが、表紙の中央に小さく挿入されている装画は忠弥が描いたものだ。巻頭口絵やグリム童話の章の扉飾りのほかに、本文中には20点に及ぶ挿し絵も描いている。


昨日も書いたように『本の装い』には「39年から51年までフランスに移住したが、在仏中も児童文学全集の宮沢賢治の巻に絵を描き文章を寄せたりしている」とあるが、『世界少年少女文全集』14巻ドイツ編1(創元社、1954年)、『少年少女日本の文学』21巻「風の又三郎」にはそのような文章が掲載されるはずはなく、月報でもついていたのだろうか?



この装画は何処かで見たことがあるような気がして、ブログを数日もどって探してみたら、よく似た絵が出てきた。『みちのく民話』がその本だ。忠弥はこの馬車や大八車、椅子、ランプ等を好んで描いた。





*本日届いたもう1冊は

島健夫『雌雄の光景』(河出書房、昭和39年)。全集などは、本の性格から話は別として、この頃から忠弥の手書き文字が、写植の文字に差し替えられるようになってきている。この『雌雄の光景』の函ももしかして表紙に使われているような手書きの文字が入っていたのではないだろうか? と推察している。架蔵本にはジャケット(カバー)がついていないが、もしも、カバーには、手書き文字が装画とともに描かれたものが入っていたらおもしろいのだが。誰か、カバーを持っている人はいませんか?




『雌雄の光景』の見返しも見事な絵で、こちらも表紙の案として描いたものではないだろうか? 同じテーマで何枚か描いたのだろう。忠弥の装丁に向かう真摯な態度がこんなところからもうかがうことができる。