ブータンの切手

秋篠宮家の長女、眞子さまが訪問している幸せの国・ブータンに、私の恩師・杉浦康平さんがいまから40年ほど前に国賓として訪問し、写真の切手をデザインしてきました。

 この切手は、そのとき日本の最高の印刷技術者として同行し、この切手を印刷した平野武利さんから頂いたものです。
 平野さんとは2006年にある学会のミズノ・プリンティング・ミュージアム見学会で知り合い、一気に意気投合して、平野武利『山頂にて』(山と渓谷社、1993年)という写真集もいただきました。

この写真は赤外線フィルムで撮影しているというので、遠景の細部までがくっきりと写っています。それだけではなく、製版者としてブータンまで同行したというほどの平野さんだからこその、写真はモノクロだがスミとグレーの2色刷で、おまけにレタッチは自らが行ったというこだわりの本でもあります。



 私が大学の授業で石元泰博先生からモノクロだが2色刷りだという石元 泰博 『シカゴ,シカゴ 』美術出版社、1969年) の制作の関する話を聞いたことがあるといいましたら、この写真集も平野さんが印刷を手がけたものだという。そんな偶然がかさなって、初めてお会いしたのに、話が止まらず、喫茶店に入っても話が続いた思い出の2冊本と切手です。