7月17日搬入の東京展に出品する作品を制作する下準備のために、動物図鑑などの資料を集め眺めている間に、強力な衝撃を受けた絵に出会った。石倉欣二:画、『絵ばなし図鑑 水のいきもの』(主婦と生活社、昭和45年5月)がその絵だ。図鑑といえども決して写真のように細密に描かれた絵ではなく、画家の意向をも組んで描き込んだ表現力が勝って、いわばタブローとでもいうべき作品に仕上がっているような好印象を受けた。



石倉欣二:画、『絵ばなし図鑑 水のいきもの』(主婦と生活社、1970年5月)


石倉欣二:画、『絵ばなし図鑑 水のいきもの』(主婦と生活社、1970年5月)


その後も
●石倉欣二:絵、高橋健『雪にきえたキタキツネ』(小峰書店、1983年)


●絵と文:石倉欣二『人魚姫』(小峰書店、1998年)


●石倉欣二:絵、沖井千代子『空ゆく舟』(小峰書店、2001年)


●石倉欣二:絵、新美南吉『ゴン狐』(小峰書店、2004年)


●作・絵:石倉欣二『ねこのゴンザ』(ポプラ社、2008年)


など沢山集めた。中でも『日本の民話』(世界文化社、発行年不明)には、見ごたえのある絵が沢山掲載されている。



石倉欣二:絵、「力太郎」(『日本の民話』、世界文化社、発行年不明)


石倉欣二:絵、「だいだらぼっち」(『日本の民話』、世界文化社、発行年不明)



石倉欣二:絵、「ふるやのもり」(『日本の民話』、世界文化社、発行年不明


着想のユニークさ、構図の大胆さ、色彩ハーモニーの美しさ、デフォルメも見事さなどなど、どれをとっても大胆でオリジナリティに富んでいて、久しぶりに琴線を共鳴させられる絵に出会うことができ、満足感に満たされた至福の時間を過ごしている。