岩田専太郎にも苦難の時代が……

 専太郎はどちらかというと時代小説の挿絵を得意としていたかのようなイメージを持っていたが、中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)では、現代小説の挿絵も見事にこなし、マルチな挿絵画家ぶりをみせている。戦争の足音が聞こえてきた開戦2ヶ月ほど前に連載が始まった事もあり、書き出しが「けたゝましくつゞけざまに、サイレンが咆えはじめた。『訓練空襲警報……。』」と、空襲警報の訓練から始まっている。そんなご時世にもかかわらず、第一回目の挿絵は専太郎の得意とする妖艶な女性のアップから始まっている。この妖艶さが時代に即さず裏目とでて、挿絵画家をやめようかと思わせるほどに奈落の底へ突き落とされることになる。



岩田専太郎:画、中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)



中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)



中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)



中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)



中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)



中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)



中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)



中野實「明日の愛情」(読売新聞朝刊、昭和16年9月26日〜17年3月16日)