朝、出社途中に、図書館によって滑川道夫『桃太郎像の変容』(東京書籍、昭和56年)を借りてきた。購入しようと思ったが、結構高価なので、とりあえず図書館の本を読んでみて、どうしても欲しいと思ったら改めて購入しようかと、ちょっと節約をしてみた。

通勤電車の中で30頁ほど読んでみたが、これがかなり面白く、所謂研究書によくありがちな、専門用語の羅列で文章がこなれていなく読みにくい本と違って、滑川道夫氏はさすが教育者だけあって文章も達者だ。巻頭には沢山のカラー写真が掲載されており、巻末には「桃太郎書目・事項年表」が付いていて、桃太郎研究者にとっては至れり尽くせりの本だ。



滑川道夫『桃太郎像の変容』(東京書籍、昭和56年)巻頭口絵より


私が『桃太郎像の変容』に出逢ったのは、やはり滑川道夫氏が執筆した『いろはかるた』(ぎょうせい、昭和58年)を読んでいた時だった。著者略歴に『桃太郎像の変容』とあるのをみつけ、題名に魅了され、どうしても読んでみたくなってしまったのだ。滑川氏は、1906年秋田県湯沢に生まれ、日本児童文学界会長、東京成徳短大教授をされていた。御健在なら103歳になる。『桃太郎像の変容』は75歳の時に上梓したもので、『いろはかるた』は77歳の時の本だ。この年齢で、この活躍とは、いやはや、私もあやかりたい。



『いろはかるた』(ぎょうせい、昭和58年)



このほかにも、鳥越信『桃太郎の運命』(日本放送出版協会、昭和53年)も読み始めた。柳田国男『桃太郎の誕生』(角川文庫、1969)も購入。一気に桃太郎がマイブームになってきた。架蔵書に、明治時代の教科書はかなりあるので、教科書の中に掲載された桃太郎はとりあえずすぐに見ることが出来そうだ。



「尋常小学読本」巻一(文部省、明治43年



桃太郎のお供の犬猿雉について、渡邉聡士さんのHPに、なぜ犬猿雉なのかについて面白い考察がなされているので一度訪ねてみてください。
http://www.pandaemonium.net/menu/devil/momo_t.html
「桃は五行の”金”に対応する果実だ。”金”に対応する方位は西で、その方位に対応する干支は、戌・申・酉となる。
 つまり桃太郎のお供となる犬・猿・雉は、桃太郎の桃と五行の”金”で明確に繋がっている。」と云う。