柳生十兵衛、丹下左膳のように隻眼や独眼などのように体にハンディキャップを負ったヒーローが、どうしてこんなにたくさんいるのだろうか? 


柳田國男は、『一つ目小僧』『目一つ五郎考』で、「極めて尋常なるものと差別すべく外部に現れたる何等かの象徴がなければなら」ず、その「奇異とすべき点」が片目となってあらわた、としている。さらに、「もともと神に捧げるべき生け贄の人間が逃亡しないように片目(と片脚)を傷つけていたのが神格と同一視されるようになったのが原因である」と、述べている。


また、谷川健一は、『青銅の神の足跡』で、たたら場で働く人々は片目で炎を見続けるため、老年になると片方が見えなくなる。またふいごを片方の脚だけで踏み続けるから片脚が萎える。古代は人間でも神々と同一視されていたため、天目一箇神などのように鍛冶の神がこのような姿をしているということになった。そしてこれらの神々は零落して妖怪になった、といっている。