2008-05-28から1日間の記事一覧

「やつし」に似た痛快さが人気の秘密

縄田和夫編『時代小説・十二人のヒーロー』(新潮文庫、平成7年)では、「身体的な障害者が土壇場に至って超人的なヒーローに転ずるのも、一種、歌舞伎の『やつし』にも似た面白さを伴っている」といっている。 多田道太郎も『林不忘』(『カラー国民の文学…

柳生十兵衛、丹下左膳のように隻眼や独眼などのように体にハンディキャップを負ったヒーローが、どうしてこんなにたくさんいるのだろうか? 

柳田國男は、『一つ目小僧』『目一つ五郎考』で、「極めて尋常なるものと差別すべく外部に現れたる何等かの象徴がなければなら」ず、その「奇異とすべき点」が片目となってあらわた、としている。さらに、「もともと神に捧げるべき生け贄の人間が逃亡しない…

昔から多くの隻眼の人物が主役・脇役として活躍していた。架空実在を問わずに、私が知っている隻眼の人物をあげてみると、意外や意外、丹下左膳の他にも実にたくさんいる。

私がまず、初めに浮かんだのが、「あんた江戸っ子だってね、食いねぇ、寿司を食いねぇ」で知られる「清水次郎長」に登場する清水五人衆・遠州森の石松だ。 次は、最近NHKの大河ドラマで「風林火山」で話題になった「山本勘助」。武田二十四将の一人で、武田…