山田伸吉装丁、武田正憲『諸国女ばなし』(鹽川書店、昭和5年)を店頭の100円均一コーナーで発見!


土曜日の夕方、水彩画のモチーフにするのに、ボール紙で出来たきれいな箱に入ったハーモニカが欲しくて探し歩いていたが、なかなか見つからず、新橋からの帰り道にあてもなくふらりと中野で途中下車してみた。中野ブロードウエィをぶらぶらとウィンドウショッピングしていたら、カラーボックス程の小さなショウウインドウに「Tombo」という箱を見つけた。そういえば、かつて「宮田バンド」とか「トンボバンド」などというハーモニカがあったのを思い出し、嬉々としてアンティークショップに飛び込んだ。


すると、そこには、「黒龍」化粧品や「あせしらず」パウダーなどが置いてあった。ロウメンという10円玉程のメンコなどもあり、そこは終戦後間もない頃の昭和レトロがあふれていた。まさに探し求めていたモチーフが沢山あった。





因に入り口のショウウインドウにあったのは、トンボ鉛筆の箱だった。この辺にはまだアンチークショップがありそうだっとおもい、さらに散策を続けていると、古書店「古書だるまや」を見つけてしまった。本フェチとしては立ち寄らないわけにはいかず、まず店頭の均一コーナーで様子をうかがう。


すると、黒い本が何冊かアルではないか。手に取って見ると表紙には浮世絵風の挿絵があり、「あ、浮世絵の本か」と、戻そうとした時に、裏表紙に唇の紅アトが描かれているではないか。もしかしてこれはモダンな装丁なのかも知れないと思い直し、装丁家の名前を探すと、なんと「装幀……松竹座図案部主任……山田伸吉」とあった。


なかなか見つけるのが難しい山田伸吉の装丁本だが、武田正憲『諸国女ばなし』(鹽川書店、昭和5年)が、店頭の100円コーナーに置いてあるとは、今日のラッキーはこれで全部使い果たしてしまったような、嬉しい気持ちになった。これ1冊だけでは申し訳ないので、ついでに尾崎俊介『紙表紙の誘惑』(研究社、2002年)も購入した。




山田伸吉の装丁本は、最近、戸板康二『劇場歳時記』(読売新聞社、昭和45年)なども見つけた。どちらも「松竹座ニュース」でみせた、アバンギャルドな装画とはおよそ同じ人物が描いたとは思えないほどに、全く印象が違うもので、表現の引き出しの多さに驚かされる。




日曜日は、西荻窪にある古い蔵を利用したギャラリーを見に行った。ついでに近所の古びた感じのレストランで昼食をとっている時に、西荻窪アンティークマップを見つけ西荻窪には60点ものアンティークショップがあることを知った。


何というラッキー。ハーモニカの箱が見つかるかも……、という希望がわいてきて、夜7時までそのほとんどの店を見て歩いてしまった。クラブ白粉やトンプクという薬などの、見事なパッケージを見つけた。アンティークはホントいいですよね。でもここでもハーモニカは見つかりませんでした。