2009-10-23から1日間の記事一覧

本日、出来立てのオブジェ「破れ鍋に綴じ蓋」です。

壊れた鍋にも、それに似合う修理した蓋があるもので、似かよった者同士の結びつきがよいということだ。但し身内がへりくだって使うことばなので、人に向かって使うと失礼になってしまうから要注意だ。辞書には「みにくい者どうしの夫婦がそれ相応にむつまじ…

■11月にJR中央線・日野駅前にある実践女子学園生涯学習センターで「美しい本の話」と題する講座を3回に渡って開催予定。毎回たくさんの本をもっていきますので、実物を手に取ってご覧下さい。

・場所=〒191-0061東京都日野市大坂上1-33-1(JR中央線・日野駅前) ・受講料=3,150円 ・日 程=11月2日、11月16日、11月30日(いずれも10:30〜12:00)・内 容=1.洋装本の伝来と装丁の始まり(11月2日) ─橋口五葉の漱石本とアールヌーボー─ 2.幾何学模様…

斎藤昌三没後に刊行された坂本篤編「はだかの昌三」(有光書房、昭和37年5月)には、死人に口なしとばかりに言いたい放題の悪口が記載されている。ある意味でそのほうが本音の発言なのかも知れないが、大人げない気もする。そんな中に、敢てゲテ本に苦言を呈している長尾桃郎の文章を読んで見よう。

「『書痴の散歩』を筆頭とする一連の随筆集には、多大の敬意を払うに断じて吝かではなかったものの、短いエッセイ、短い論文、短い随想などの収録に、思い切ったよそおいを凝らした装幀を、敢て施す昌三さんの興趣には、どうにも賛意を表し難い私であった。…

私も多いに齊藤昌三のゲテ本に惚れ込んで、ゲテ本を沢山造った。私の場合、普段は書店に並ぶ量産本を造っているので、その反動かどうか手製本は殆どがゲテ本になってしまう。

金属や貝、針金、布などを象嵌した漆塗りの表紙、背は子牛皮。外国のルリュール展出品用に造ったもの。 明治時代のものと思われる板本をばらして表紙に貼込み、そこに刀の鍔を象嵌した。東京造形大学、桑沢デザイン研究所の授業用に見本で造ったもの。角布の…

紀田順一郎氏が「おのれの能力と実績についてのみ世に発言を行った人物」(「蔵書一代 齊藤昌三」、「大衆文学研究」昭和40年)と評するように、齊藤昌三は自己評価の高いナルシストで自画自讃する文章が多い。

◎岩本柯青(和三郎)は、庄司浅水、柳田泉らと同人制で『書物展望』創刊した一人なので、いわば身内の話であるが、昌三の仕事について 「処で、この『書痴の散歩』であるが、御覧の通り内容は多岐多様に互つて斎藤氏の博識を発揮して居り、決してロクなもの…