シーボルト付絵師・川原慶賀は北斎に出会ったのか?

シーボルト付絵師・川原慶賀は葛飾北斎に本当に出会ったのか?】
 伊勢屋の隠居・鉄蔵と名乗るがじいさんが「懐から折りたたんだ紙を出して慶賀の懐に突っ込んだ。『餞別だ。ときどき眺めて浅草のじいさんのことを思い出してくれ』慶賀の胸がある予感でドキンと鳴った。」(ねじめ正一シーボルトの目』(集英社文庫、2008年)


「紙には絵が浮世絵の習作と思われる絵が描いてあった。波と富士の絵であった。…左上に作者の名前があった。《為一》であった。為一──それは葛飾北斎のここ数年の雅号だ。」(前掲書) とあるように、『シーボルトの目』には、慶賀が北斎と出会った場面が記されている。
 果たして事実なのか? その真偽を確かめる為に図書館から、有泉豊明『楽しい北斎富嶽三十六景 富嶽百景 動植物画他』(目の眼、平成29年)を借りてきた。


 こうして私の読書は、1冊の文庫本を読み終えるのに、いつも何冊もの本と、何日もの時間を費やしてしまいます。