『世界屠畜紀行』『身体のいいなり』の内澤旬子さんからいただいた石

【捨てられないもの】今では、『世界屠畜紀行』『身体のいいなり』(講談社エッセイ賞)や松田哲夫氏との共著『「本」に恋して』などで知られる内澤旬子さんだが、かつて、まだ独身だった頃に「図書設計」(日本図書設計家協会)の編集を一緒にやっていたときに、「ネパールに取材に行ってきた」といって写真の経典のような石片をお土産に持ってきてくれた。


 あの細い体で、わざわざこんなに重いものをネパールの山のてっぺんにある石に経典などを彫る工房のようなところから、担いできてくれたものを、ありがたくて何で捨てらりょか。いや、むしろわが家の宝物だ。今日は37年間おせわになった事務所の引っ越しの最後の日で、この石片が、最後の積み荷となった。