「桃太郎」「一寸法師」「かぐや姫」誕生はちょっとホラーだ

図書館に行ったついでに「金太郎」「桃太郎」以外の絵本も沢山見てきた。大田大八:画、松谷みよ子『いっすんぼうし』(星雲社、2008年)の誕生もちょっとホラーだ。「むかし、子どもの いない じいさまとばあさまが いてね、子どもが ほしい、どうか 子どもをさずけてくだされ、とかみさまに おねがいしたって。そうしたら、さずかった。さずかったけれど、ゆびにもたらん ちいさな子がうまれた。」と、授かったって、このおばあさんが産んだの? 人間の子として産まれたようだが、パンダの子のような一寸(3.03cm)ほどの子どもはありえない。なんの疑問ももたずに絵本を受け入れてきたが、改めて読んでみるとすごい世界だ。 

大田大八:画、松谷みよ子『いっすんぼうし』(星雲社、2008年)


「桃太郎」も「一寸法師」も「かぐや姫」も誕生した瞬間は異常に小さいところがよく似ている。そして、これらの異常さは単に楽しく役に立つ立身出世話ではないことも。一寸法師が『狂歌百鬼夜狂』『狂歌百物語』などの狂歌本では、妖怪の一種として詠まれているというのも、誕生瞬間の絵を見ただけでうなずける。となれば「かぐや姫」も「桃太郎」も同じ物の怪(もののけ)、魔物(まもの)、妖(あやかし)などと呼ばれ奇怪で異常な現象扱った妖怪話の類といってもよいのではないだろうか。写真は織田観潮:画「かぐや姫」(『新・講談社の絵本』2001年)



三好硯也:画、与田準一「ももたろう」(「カスタム版どうわ絵本」8、偕成社、昭和44年)、「ももたろう」の桃は総じて大きく描かれていることが多い。スイカでもこんなに大きいのはないのでは?