杉浦非水の大正期の装丁本



杉浦非水:装画「秋草」(「少年世界」博文館、大正元年9月)
この本を購入した時は、この少年は草薮の中に隠れて何をやっているんだろう?といういかがわしい期待を込めて購入した。が、よく見ると、腕に喪章を付けている。本文中には「明治天皇御大喪儀」等の文字が踊る。私の期待は大幅に外れた。



杉浦非水:挿画、巖谷小波「催眠太郎」、(「少年世界」博文館、大正元年9月)
挿絵の上にバッタが描かれているが、橋口五葉もこのような昆虫を使った飾り罫を好んで描いた。アール・ヌーボーの様式を採り入れたのだろう。しかし、挿絵には、ミュシャやビアズレーのような流れるような曲線は見られない。独自の表現を追及した非水の物まねはしたくないというささやかな抵抗なのだろうか。



杉浦非水:挿画、巖谷小波「催眠太郎」、(「少年世界」博文館、大正元年9月)



杉浦非水:挿画、巖谷小波「催眠太郎」、(「少年世界」博文館、大正元年9月)