「さし絵画家にも長老先輩、若手新進、洋画日本画出身者色とりどりだが、さし絵画家の組織した挿美会の機関誌「さしゑ」に斯界の先輩諸公として、さしえ長距離選手の十位までのランキングがかかげてある(但し昭和三十年四月現在)さし絵画家としての経歴年数の長い人々を選出したのである。」(津島壽一『芳塘随想』芳塘刊行会、昭和36年)


一、約五十年  細木原 青起
二、四十年   清水 三重三
三、三十六年  田中 比左良
四、三十五年  岩田 専太郎
五、三十五年  寺本 忠雄
六、約三十四年 神保 朋世
七、三十二年  林 唯一
八、三十年   川原久仁於
九、三十年   嶺田 弘
十、三十年   宮田 しげを


4位の岩田専太郎は、1920(大正9)年に博文館発行の「講談雑誌」で挿絵画家としてデビュー。以来、雑誌や新聞を舞台に、時代小説・現代小説・探偵小説などあらゆるジャンルの挿絵を常に新鮮な感覚で描き、数多くの挿絵画家が雑誌界に登場し、消えていったなかで、この後も1974年に亡くなるまで、50年間にも及ぶ長い期間常に第一線の挿絵画家として活躍し続けた。1位の細木原青起(1885年05月15日〜1958年01月27日)も長者番付ならぬ長寿挿絵画家として長年活躍した代表格といえる。