昔から、カラスと人との関係は深く、たくさんの話が残されているのではないかと思っていたが、探してみるとカラスが主人公になった話は以外と少なく、なかなか見つからない。たじま ゆきひこ・作「からすじぞう」(『こどものとも』第399号、福音館、1989年)は主人公ではないが、からすがテーマになっている数少ない本の1冊だ。



たじま ゆきひこ・作「からすじぞう」(『こどものとも』第399号、福音館、1989年)



たじま ゆきひこ・作「からすじぞう」(『こどものとも』第399号、福音館、1989年)
善かれと思ってしたことが、からすにとってはとんでもないことになってしまい、与作の赤ん坊をからすがさらっていってしまう。怒ったからすの恐ろしさが良く描かれていて、大胆な構図で臨場感を見事に表現しているいい絵だと思う。



たじま ゆきひこ・作「からすじぞう」(『こどものとも』第399号、福音館、1989年)
村人が集まって、与作のこどもを取り換えそうとするが、からすも仲間を集めて抵抗した為、大きな騒ぎになってしまったが、こどもは取り返せなかった場面だ。昭和30年代にテレビ放映されていた「ヒッチコック劇場」での、ヒッチコックの「鳥」を思わせる恐怖感がせまってきそうな絵で、淀川長治の「コワイですね、コワイですね。ハイ、さよなら、さよなら、さよなら」の声を彷彿させます。