白黒の線画を、カラーの絵に仕上げてしまうのは、それはそれで才能かも知れませんね。


間違いなく、他人の図鑑をもとにしていたのだろう。それはそれとして、白黒の線画で描かれた絵をカラーで再現していたとしたら、それはそれで一つの才能ではないだろうか。そう思ってさっそく村越三千男『内外植物原色大図鑑』(植物原色大図鑑刊行会、昭和8年)の中から、それらしい絵を探しだし、斎田・佐藤『最新図説内外植物誌』(大日本図書、大正6年)の中からも探しだすという作業を繰り返してみた。



村越三千男『内外植物原色大図鑑』(植物原色大図鑑刊行会、昭和8年



斎田・佐藤『最新図説内外植物誌』(大日本図書、大正6年


一部を省略したりして、そのままコピーしたのではないが、全体の構図や花等はそのままのように見える。これほどまでに他人の資料をコピーして図鑑を仕上げるのに罪悪感はなかったのだろうか。罪の意識がないからこそこれほど大胆にコピー出来たのではないだろうか、と推察する。それにしてもカラーにしてしまうのは見事な能力と言わざるを得ない。1点や2点の話ではなく、数百枚いや数千枚かも知れない絵をこのように描いたとしたら、それはそれで驚きですよね。