「笑いの王国」でも『丹下左膳』



菊田一夫「われらが丹下左膳」プログラム


「笑いの王国」とは、御園京平『活辨時代』(岩波書店、1990年)によると、
「洋画説明者がトーキーによって職を失い、とまどっているときに、浅草で人気絶頂のエノケンに対抗して旗揚げしたもの。昭和七年に無声、生駒、山野、井口、大辻らの説明者を中心に、日活を脱退して新映画社を創立した小杉勇、島耕二、滝花久子、浜口富士子、蒲田を脱退して不二映画に参加した渡辺篤、席時男、古谷久雄、横尾泥海男、らが浅草を根城にオペラ時代からカジノフォーリーなどで活躍した喜劇人と合同したものである。


しかも昨日までは素人同然であった古川緑波が座長としておさまり、メチャクチャのアチャラカ大芝居をやって大受けし、遂に10年の記録を保持するにいたった。しかし、古川緑波昭和10年東宝に走り、ロッパ一座を結成した。「笑いの王国」は生駒雷遊を座長として菊田一夫、山下三郎などの作家を擁して、毎月2の替り公演をして発展をした。」
というような、元弁士といわれた人たちの劇団です。


新聞小説が、映画になり芝居になって演じられていたほどに、左膳人気は大変な勢いだったようだ。