♪「朝はどこから 来るかしら/あの空越えて 雲越えて/光の国から 来るかしら……」♪と、小学生の頃に口ずさんだ懐かしい歌だ。写真は、朝日新聞社選定、森まさる・作詞、橋本国彦・作曲の楽譜の表紙である。
四葉のクローバに、明日の夢を象徴させたのであろう。「……いえ いえ そうでは ありませぬ/それは希望の家庭から/朝が来る來る 朝が来る/お早う お早う」と続くこのほのぼの感は、恩地にとっては、決して得意なテーマではなかったのではないだろうか。
左下の手は、恩地の作品にはよく登場する手だ。「感情」第2年2月号(感情詩社、大正6年)の表紙にもよく似た図柄が使われている。井上康文『手』(素人社書屋、昭和3年)も、広げた手の平に目がある図柄だった。恩地の得意なモチーフの一つだ。
「恩地孝四郎装幀作品目録」(「装本の使命』)では、昭和初期の楽譜の装丁はかなり沢山記録されているが、この楽譜は、記載されていない。