漆を使った装丁をしてみた

漆の表紙を擁護するために、私も自分で漆を使った本を作ってみた。自己流だが、螺鈿(らでん)という技法を使った装丁である。製本様式は、ドイツブラデルといって、いわばくるみ製本である。綴付け本だと、製本をしながら漆
塗りをしなければならないので工程上無理があるのと、漆の上に背皮を貼らなければならない、など不都合があるので、この製本様式を選んだ。
 
多分、かなり丈夫なのではないかと思われる。表紙の心材には、反りが少ないようにと、7ミリ厚5層のシナベニヤ板を使った。1年間かかったので、商業的には作れないが、採算と制作期間を考えると『春琴抄』かなり頑張っていることがわかる。やはり、量販本では考えられないほどの労力がかかっており、かなりいい本であるのはまちがいない。
 
書影は、大貫伸樹螺鈿細工のルリュール(工芸製本)『L'ATLANTIDE』(2003年)