2005-07-27 ゲテ本はアンチテーゼではない 昌三には、造本界批判やマスプロ造本へのアンチテーゼというような意味での反抗心はなかったのではないか、と思う。単純に本を通しての創作を楽しんでいたのであり、そうして出来た書物の方が、大量生産される画一的な書物より満足感を与えてくれたのではないだろうか。同好の士としては、反抗心をむき出しにして戦う闘士への興味など持ち合わせていなかったように思える。 書影は齋藤昌三の代表的作品といってもよい『現代日本文学大年表」(改造社、昭和6年)。装丁は杉浦非水。