口は悪いが

 
「……失禮な話だが、翁の筆になったものでも、殊にこの種のものは多くは賣れないものであらうが、十人でも百人でも賛成者があったら充分だと思って、……」と、真実とは言え全く失礼なことが書いてある。言うだけのことがあって、本文中に掲載された多色すり木版画の挿絵は素晴らしく、挿絵を木版に起こすのに、大変な時間を要したようだ。
 
書影は山中笑『共古随筆』(温故書屋、昭和3年)の表紙。