2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

古書市で、この挿絵画家は見たことも聞いたこともない、と思って雑誌を5〜6冊購入してきたが、いざ私製の挿絵画家名台帳と照合してみるとほとんどが登録済み。これだけ集まるとさすがの知恵袋も記憶量のリミットを越えてしまったようで古書市の会場で、記憶に頼っての照合は無理になってきた。そんな中やっとみつけ550人目に登録された挿絵画家は、昭和14年刊「キンダーブック」の表紙絵を描いた市川赳士。1匹も釣れないのを「ぼうず」というが、ぼうずにならなくてよかった〜!

市川赳士:画、昭和14年刊「キンダーブック」

先日、難解なサインとして紹介した梶原緋佐子の総天然色(昔はこんないい方していなかったっけ?)表紙絵を神保町・古書市で見つけた。こちらの絵を先に入手していれば、目次に画家名が記されているので難なく解読できたのに……こんな事の繰り返しばかりだ。

岩田 正巳(いわた まさみ、1893 - 1988年)は、帝展1930年(昭和5年)特選、日本芸術院賞受賞、日本芸術院会員など輝かしい経歴を持つ歴史画を得意とする日本画家。こんなすごい画家が描いた絵を挿絵として扱っていいのだろうか? などと抗議を受けそうだが、いいんです。わたしが挿絵という時は「印刷物になることを前提として描かれたものは全て挿絵である」と定義しますので。

横山 隆一(よこやま りゅういち、1909 - 2001年)といえば早稲田大学のマスコットキャラクターとしても有名な『フクちゃん』を思い起こさせる漫画家だが、「日曜報知」昭和11年に漫画とは一味違う見事な挿絵を描いてみせている。

「婦人画報」(昭和2年3月号)に挿絵を3点寄稿しているが、サインが解読できない上に活字での名前表記がないので、しばらくは誰の挿絵か分からずほおっておいたが、記事を読んでいくうちに2ページほどのインタビュー記事があり、京都生れの日本画家、梶原緋佐子(1896−1988年、名は久)の挿絵であることが分かった。掲載したサインが一番読みやすいが予備知識なくこれを解読するのは難しい、と思うのは不勉強の自己弁護かな。

さらに、ねじ釘の画家2人が競演している絵本『米』(コドモノクニ発行所、昭和12年)を発見。画像左が、木村俊徳が描いた表紙、右が夏川八朗(柳瀬正夢)の本文挿絵、ともにねじ釘のサインが書かれている。1冊の本に2人の画家が同じサインを使っているのだ。まさか、木村と夏川が同一人物ってことはないよね!

あれ? 「ねじ釘の画家」といえば柳瀬正夢(夏川八朗)の専売特許のようなものだと思っていたが、もうひとりの「ねじ釘の画家」を発見。木村俊徳:装丁『汽船』(「コドモノクニ」昭和12年)の表紙に画像のようなサインを見つけた。ねじ釘記号+「kim」とあるので、木村のサインであることは間違いないのだが…。

近所の古書店が閉店半額セールをやっていたので、杉浦幸雄装丁、峯島正行『近藤日出造の世界』等を購入。漫画家はタイトル横などに名前が記されるので、記号のようなサインを残すことがあまりない。漫画家・杉浦もそんなサインが採録しづらい一人だが、『近藤…』の函絵にサインがはいっていた〜!

杉浦幸雄装丁、峯島正行『近藤日出造の世界』(青蛙書房、昭和59年)

近所の古書店の閉店半額セールで漫画家・田河水泡の単行本『のらくろ上等兵』を購入。本名の高見沢仲太郎をローマ字表記Takamizawaを“Takamiz・Awa”と「ぎなた読み」し、この“たかみず・あわ”に、いつと消えるかわからないという意味を込めた漢字を当てて「田河水泡」としたのが、誤読されいつの間にか「たがわ・すいほう」と呼ばれるようになった。「高見沢路直」と名乗って前衛芸術集団『マヴォ』に参加したり、「高沢路亭」という名で新作落語を執筆したりと変態し続ける自分の姿をおたまじゃくしに見立てて、名前の「水

田河水泡『のらくろ上等兵』(大日本雄弁会講談社、昭和7年)より