2011-03-18から1日間の記事一覧

そして「僕は挿絵を二義的な芸術とは思っていない。むしろ、かなり高度な絵画芸術だと思っている。本気を出して挿絵を描いてごらんなさい。少々絵が描けるくらいでは挿絵にはなりません。僕が考えている挿絵とは、映画に例えると、監督・カメラ・俳優(主役から端役まで)を一人でやり、一人でやれる腕と能力を持っていなければ務まらないものだと思っている。しかし、そんなことが出来る画家は稀にしかいない。」(「あとがき、前掲書『変手古倫物語』)とのメッセージが気に入ったことだ。

これを読んで、小林恒美にも興味を持ったのだが「彼は自分の命までも我々より先立たせてしまったのである」(前掲書『変手古倫物語』)と、あるように、若くして亡くなってしまったのか、小林恒美に関する本などをネットで探してみたが、見つからなかった。

『変手古倫物語(へんてこりんものがたり)』

闘病生活は、昼間は1時間ごとの検温、血圧検査、点滴、3度の食事などに追われて何もできず、21時に消灯してから朝6時の点灯まで9時間も真っ暗の中で、夜が長く退屈だ。昼間の暇な時間に田代光『変手古倫物語』(美術倶楽部、昭和56年)を読んだ。入院中なの…