2008-08-12から1日間の記事一覧

大佛次郎自身も『鞍馬天狗 第十巻』(中央公論社、昭和44年)「あとがき」に鞍馬天狗誕生話をこのようにつづっている。

「『鬼面の老女』は博文館から出ていた雑誌『ポケット』に読み切りの短編として書いた。私がまげ物の小説を書いたのは、これが二度目で、その前はポオの『ウィリアム・ウィルソン』の翻案だったから、二作目のこの方が処女作と言ってもよい。一度だけでやめ…

「鞍馬天狗」は大正13年に『ポケット』(博文館)へ「鬼面の老女」を発表していらい、「鞍馬天狗 地獄太平記」まで、長短合わせて37本もの天狗がある。

「『鞍馬天狗』は関東大震災が原因となって誕生した。つまりそれをきっかけに外務省とも縁を切った大佛次郎が、糧道をつけるためにマゲモノを書いたのが「隼の言辞」、つづいて「鬼面の老女」だったわけだが、鞍馬天狗の名前はもちろん謡曲の『鞍馬天狗』か…