2008-05-27から1日間の記事一覧

小田富彌の描く左膳にはニヒル(非情で冷酷、虚無的)で野蛮な悪党っぽい凄みがあったが、志村立美が描いた左膳は、イケメン美男子で優しい正義の味方の顔になっている。丹下左膳が誕生し、人気を博した時代背景をこの二人が描いた挿絵からも読み取ることが出来そうだ。二人の挿絵の優劣を語るつもりはないが、ともに、それぞれの時代に受ける人物の性格までも描き出す程の力作であることは間違いないようだ。

「大岡政談」に登場した悪党脇役が……

丹下左膳は、1927年(昭和2年)10月から翌3年5月に東京日日新聞に連載された「新版大岡政談・鈴川源十郎の巻」だ。当初は関の孫六の名刀、乾雲丸・坤竜丸という大小一対の刀を巡る争奪戦に脇役的に加わった一登場人物に過ぎなかった。主人公は当然鈴川源十郎…

丹下左膳の本を集め始めました。

ネットで早速、志村立美装丁、林不忘『丹下左膳』第4巻(寶雲舎、昭和24年)を購入。主人公がいないこのふやけた印象の表紙は何なんだ。読者は丹下左膳の登場を期待していたのではないのか? 丹下左膳の挿絵といえば、小田富彌(明治28年〜平成2年岡山生)を…